オンライン上で企業のマーケティング活動を総合的に管理して、商品・サービスを自動で最適化するマーケティングオートメーションの機能をご存じでしょうか?
マーケティングオートメーション(MA)は、BtoBやBtoC営業に欠かせない顧客開拓ツールとして多くの企業で採用されています。しかし、具体的にマーケティングオートメーションにはどのような機能があり、顧客に対してどのような効果を発揮するのか知らない方も多いようです。
そこで今回は、マーケティングオートメーション機能をご紹介しながら、その活用方法について解説します。
目次
マーケティングオートメーションとは
マーケティングオートメーションとは、リード(見込み顧客)獲得や業務の省力化をはじめとした、マーケティング活動の全般を管理・自動化するシステムを指します。
企業がマーケティングオートメーションを導入するメリットとしては、リードの属性や興味・関心事項に合わせた情報収集が可能になるということです。
例えば、中古車を購入したいリードに対して、それぞれが関心を持つ金額や車種といった中古車の情報を整理して、車両の入荷のタイミング、または定期的に、リードに対してホットな情報を提供するのは非常に手間と時間が掛かる作業です。
リードがいつサイトを確認して、いつ営業メールを開いたかなどを管理した上で、ジャストなタイミングで営業を行うことはほぼ不可能ですし、商品ページにどのように経由してたどり着いたかや滞在時間などによってリードの本気度も変わります。
そこで、マーケティングオートメーションの機能を活用してリードをツール上で管理するのです。
具体的には、一斉メールで連絡を取り続け、その開封のタイミングによって商談の可能性が高い人を可視化したり、リードジェネレーションといって見込み顧客獲得やナーチャリングという獲得した見込み顧客の育成を行ったりすることができます。
メールの開封時期や閲覧時間、どのようなページを経由したかを分析して、商談成立の可能性が高いリードをリスト化するというのは、マーケティングオートメーションの機能を利用しなければほぼ不可能な作業です。
マーケティングオートメーションの機能があれば、営業を省力化・合理化することができ、商談の成立数を飛躍的に増加させることができます。
マーケティングオートメーションの機能とは
マーケティングオートメーションの流れと機能は、大きく以下の4つに分類できます。
①リードジェネレーション(見込み顧客を獲得する機能)
②リード管理(見込み顧客を管理する機能)
③リードナーチャリング(見込み顧客を育成する機能)
④リードクオリフィケーション(見込み顧客を選別する機能)
それぞれのマーケティング活動の目的や、それぞれのフェーズで効果を発揮するマーケティングオートメーションの機能についてご紹介します。
MAの機能:リードジェネレーション
リードジェネレーションとは「リードの生成」という意味で、つまり新しい見込み顧客を獲得することを指します。
新たなリードというのは、Webサイトを訪問するといったオンライン上で発生するもののほか、展示会や営業活動、リアルな店舗などによって出会うものなど経路はさまざまです。
マーケティングオートメーションの機能でそれらのリードが直接獲得できるわけではありませんが、獲得したリードを効率良く情報として取り込み、将来的に自社の顧客にするための機能があります。
ランディングページ作成機能
ランディングページ(以下LP)とは、見込み客がWEBサイトやバナーなどの広告媒体から最初に閲覧するページのことです。
マーケティングオートメーションにはLPを魅力的にカスタマイズする機能があり、自社の商品やサービス特性を引き立たせ、特殊なノウハウがなくても容易にLPをつくることができます。
また社内や外注エンジニアによって、市場ニーズに応じてCSSやHTMLでさらに改良を加えていくことができます。
フォーム作成機能
フォーム作成機能とは、問い合わせやアンケート、資料申し込みなどを行うためのオンライン上の窓口をつくる機能のことです。
マーケティングオートメーションにおけるフォーム作成機能も非常に重要なものとして位置づけられます。
一般的にフォーム作成自体の難易度は高くなく、どのくらいLPを閲覧し、その顧客情報からどのような属性であるか(年齢、性別、職業、関心があること)などのデータも把握できるようになります。
リードのデータを分析することで、市場のニーズに応じたコンテンツの見直しが行え、さらにリードを絞り込むことができます。
フォーム作成機能の導入により、窓口の設立からリードのデータ収集、そして分析までスムーズに行うことができるのです。
MAの機能:リード管理
リードジェネレーションのプロセスでリードを獲得したら、次はリードを管理する活動です。
ここでは、より具体的に、獲得したリードの情報をツールに内蔵されたデータベースに登録して管理します。登録したリードの情報は必要に応じて更新したり、セグメントやタグをつけたり、削除したりすることもできます。
例えば、自社WEBサイト上の資料請求フォームなどから得られたリード情報を自動的にデータベースに登録し、DMやメールマガジンなどを送付するリストを作成していくことも可能になります。
リードスコアリング機能
リードスコアリングとは、リードに対して客観的に自社との関係性について数値化して、可能性を評価する機能です。
このスコアリングでは、
①属性(アトリビュート):会社規模、役職、地域など
②興味(インタレスト) :資料ダウンロード頻度、LP閲覧、滞在時間など
③活動(アクティビティ):本日の閲覧、昨日のメール問い合わせ、10日前の電話問い合わせなどある期間の中での具体的な動き
などに対して、基準を設けて採点します。
リードの属性や興味、活動をスコアリングすることで、得られたデータからビジネスとしての可能性を数値化することができて、営業の優先度を高めることができます。
一般的に、スコアリングが低いリードに対して営業を行ってもコンバージョンする可能性が低いと言われているので、この機能によって成果の出る営業を優先的に行うことができます。
MAの機能:リードナーチャリング
リードナーチャリングは、獲得したリードに対して、メールや電話、ポップアップやプッシュ通知、リターゲティング広告などを通して購入に結びつけるための活動のことです。
リードナーチャリングで効果を出すためには、顧客の属性や傾向、検討度合いなどの情報を認識しておかなければなりません。
マーケティングオートメーションの機能があれば、スコアリングにしたがって情報をまとめて管理し、ジャストなタイミングで活用することが可能となります。
セグメントメール送信機能
セグメントメール配信とは、営業時のメール配信リストを居住地や商品の購入履歴などの一定の条件で絞り、ニーズに合わせた内容のDMやメールマガジンを送信するマーケティングの手法です。
一斉送信のDMなどとは異なり、前記に述べた属性や行動などを把握したうえで顧客に応じた情報提供を行うものであり、顧客満足度やロイヤリティーを向上することができます。
シナリオ作成機能
MAのシナリオとはこれまでに述べたリード獲得からコンバージョンまでの、カスタマージャーニーを想定して描いた道筋のことであり、その道筋をつくる機能です。
以下にシナリオ例を挙げてみます。
- 中古車情報のDMを◯回開封した人には、お得な割引やオプションがある特別キャンペーンメールを送信
- 自社商品のアンケートに答えてくれた人には、定期的な購入を促すため、初回半額の特別割引メールを送信
- 資料のダウンロードやカタログ閲覧を行った人には、WEB広告を検索エンジンのバナー上に表示する
- アプリ上で無料サプリメントの申込者を対象として、スマホのプッシュ通知を送信
「リード」は放置していたままでは勝手には育ちません。獲得したリードを、案件化や受注の可能性が高い顧客へと育成(ナーチャリング)するプロセスで「リードナーチャリング」に取り組むのが望ましい形と言えます。
MAの機能:リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションは、リードを種類に応じて分類し、より成約確度の高いリードを選出し、営業部門に引き渡すためのホットリードリストを作る活動です。
スコアリングを元に抽出したホットリードリストを作成し、それを効率よく営業部門に引き渡す、SFA連携機能というものが搭載されているツールもあります。
SFAとの連携
SFAとは、セールス・フォース・オートメーション(Sales Force Automation)の略語で、営業の自動化(営業支援システム)を意味します。
現在では「顧客管理」「商談管理」「営業日報」「名刺管理」などの営業データを社内で一元管理できる機能が備わっているクラウドサービスとしてのSFAが普及しています。会社やチームとしてのデータとして蓄積することで、メンバーが変わったとしても、引き継ぎは容易となります。
CMRシステムとの連携
CMRとは、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(Customer Relationship Management)の略語で、顧客関係管理を意味します。
CMRシステムとは、SFAと同様にオンライン上で顧客情報を管理・利用して、顧客と良好な関係をつくるマネジメントの手法です。
インスタグラムやツイッターなどのSNSと連携でき、容易に顧客とのコミュニケーションが図れるシステムも普及しています。
マーケティングオートメーション機能を活用しよう
ここまでマーケティングオートメーション(MA)の便利な機能についてご紹介してきましたが、一番大切なことは自社の商品やサービス、規模に合致したマーケティングオートメーションの機能を採用するということです。
その会社の現在の売り上げ、将来への展望、方向性などを踏まえたうえで、ターゲットを決め、リードへの営業・管理を進めていきましょう。
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