これまで対面で行っていたBtoB営業が、顧客と直接会わずに行うスタイルに変化してきています。
インターネットの急速な普及やデジタル化によってフィールドセールスがリモートになり、新型コロナの影響もあって、オンラインミーティングやオンライン商談が一般的になりつつあります。
そのように、営業活動のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいますが、単に業務をデジタル化するのではなく、これまでのBtoB営業のプロセスを変え、顧客のニーズを満たせる仕組みを構築しなければなりません。
その仕組みづくりで必要なのが、マーケティングのノウハウとマーケティングDXの発想をもつことです。
今回は、コロナ禍を機にますますオンライン化していくBtoB営業に求められるものとは何かについて解説します。
目次
変わるBtoB営業
BtoB営業は、企業などの組織向けに商品やサービスを販売、提供することで、大企業から中堅・中小企業までさまざまな規模の法人が対象です。
法人を対象するということは、契約成立までに組織の中の複数人の意思決定のプロセスがあるということで、取引案件の最終決裁者は誰なのか、また、その人に影響を及ぼす力のある人物は誰なのかというポイントをおさえながらBtoB営業を進めていきます。
従来のBtoB営業では、対面で資料を見せながらプレゼンをすることが多かったですが、昨今のインターネットの普及や新型コロナウイルスの流行でこのスタイルが通用しなくなってきたため、これまでの営業スタイルから柔軟に変化する必要が出てきました。
デジタル化によって起こった変化
近年、インターネット上でやりとりされるデータ量が増加し、世界中の人が容易にさまざまな情報が得られるようになりました。
例えば、インターネット上で何かを購入したり、サービスを受けたりするとき、ほとんどの人が事前にWEB上で情報を収集し、比較検討を繰り返しています。
BtoB営業でも、顧客である企業は事前にさまざまな情報をインターネットから得て、取引の場に現れていると言って良いでしょう。
さらに、昨今のコロナ禍によってデジタルトランスフォーメーション(DX)が重要視されており、ビジネスの場がよりオンライン上で行なわれるようになると考えられます。
購買行動がオンライン化
2014年 BtoBバイヤーの調査で、顧客が購買の意思決定をする際の過程で注目すべき点があることがわかりました。
顧客が好ましいと感じる「販売代理人との関係」についての調査したところ、以下のような結果が出たのです。
- 自分で調べて購入:オンラインだが、問題解決のために電話サポートを希望…31.6%
- 電話で直接誰かと話す:プロセス全体やオプションについて話し合いたい…16.2%
- オンラインで調べて購入:ただし、問題がある場合はライブチャットサポートを希望…15.8%
- 自分で調べたい:電話で話して購入したい…13.4%
- 誰かと直接話したい:プロセス全体やオプションについて直接会って話し合いたい…12.4%
- オンラインで調べて購入:営業担当者は必要ない…10.5%
出典:Accenture 「2014年 B2Bバイヤーの調達調査:B2Bコマースの変化する状況レポート」
この結果からわかることは、71%がオンライン・電話で調査と購入を進め、営業パーソンに会って話したい顧客はわずか12%しかいないということです。
この顧客が希望する購買行動を考えると、従来のBtoB営業プロセスに加え、これからはWEBマーケティングのニーズが高まっていくことがわかります。
9割以上がテレワークを継続
コロナ禍では、緊急事態宣言時にテレワークを取り入れた企業が多くありました。
日本経済新聞社が2020年5月下旬、国内主要企業のトップを対象にテレワークについてアンケートを実施したところ、9割以上の企業が、宣言解除後も「テレワークを継続する」と回答しました。
しかも、コロナ禍がいつ終息するか不透明なため、仕方なくテレワークをするという消極的な理由からではなく、企業と社員いメリットがあることがわかったため、積極的にテレワークを取り入れたいという企業も多かったのです。
この結果からわかるのは、今後ますますデジタルワークが普及し、一般化してくるということです。会社に訪問しても担当者は会社におらず、自宅でテレワーク、というパターンも増えてくるでしょう。
そのため、これまで直接会ってプレゼンすることを得意としていたBtoB営業担当者は、この変化に対応する力が求められます。
インサイドセールスが拡大
これまでの営業スタイルは、自社に興味をもってくれているのかはっきりわからない状態で営業を行うことも少なくありませんでした。顧客の情報も少なく、顧客から連絡が途切れることもあり、結果として低い成約率となってしまっていました。
しかし、昨今のインターネットの普及によって顧客の購買行動に変化が生じ、インターネットを利用することが当たり前になったことから、インターネット上での営業活動が必要となりました。
インサイドセールスは顧客のWEB上での行動が把握でき、自社への興味を分析したり顧客の情報を管理したりしやすくなります。インターネットを通じて顧客とコミュニケーションがとれるインサイドセールスの導入はこれからのBtoB営業には必須となってきます。
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BtoB営業のプロセスが変化
デジタル化によって起こった変化によって、BtoB営業のプロセスにも変化が生まれます。
BtoB営業のプロセスは、集客→リスト化→アプローチ→商談→クロージング→アフターフォローと流れていきます。当然ながらそれぞれのステップごとにさまざまな施策が存在し、その強弱がその会社の強みや特徴を形成していきます。
従来のプロセスでは、セールスが顧客の探索、アポイント、関係構築、セリング、クロージング、アフターフォローまで一貫して対応することが一般的でした。
ところが顧客は、デジタル化によってインターネットでの事前の情報収集が当たり前となっています。そのため、セールスとの接触の前に自分で購買先を決定してしまう行動を起こすようになりました。
それによって、従来のセールスパーソンの出番は後半に押しやられてしまうことになるのです。
BtoB営業にWEBマーケティングのノウハウを取り入れる
WEBマーケティングでは、
- 顧客の収集フェーズである「マーケティング」(マーケッター)
- 顧客の購買温度を高める「ナーチャリング」(インサイドセールス)
- 成約可能性の高い顧客の抽出「クオリフィケーション」(インサイドセールス)
- 成約に直結する活動「クロージング」(フィールドセールス)
- 契約の継続に向けて顧客の成功を支援する「カスタマーサクセス」(カスタマーサクセス)
の5つのフェーズに沿ってチームでセールスを行う形に変化しています。
この考え方はセールフォースの考え方を解説した「TheModel」という書籍がベースになっています。
一般的な企業では、セールス人材をベースに営業戦略を組み立ていきます。そうすると、フィールドセールスを中心とした業務フローが出来上がっていきます。
しかし、前述の通り、WEBでの情報収集が中心となった今、顧客を捕まえ育てる機能に課題が生まれます。
結果、自社の集客をWEB制作会社、広告会社、コンサルタントに依存することになります。良い業者に出会えない、思うように成果が出ない、フィールドセールスがWEB施策に協力的ではないといった社風が生まれていきます。
オールドスタイルのセールスフローにも良い点はたくさんありますが、今後は企業内においてWEBマーケティングのノウハウを持ち、デジタルとアナログが一体化した仕組みを構築する必要があります。
これからのBtoB営業の必須ポイント
従来のセールス人材を中心としたBtoB営業のやり方では、デジタル化に対応したBtoB営業とは言えず、立ち行かなくなる場面が増えてくると予想されます。
そこで、これからのBtoB営業戦略で必須となるポイントをお伝えします。
人を入れる前に仕組みを作る
従来のやり方のように最初から営業パーソンが足で稼ぎ、見込みのない顧客にも時間を奪われるやり方では業務効率が悪いままです。
そのため、課題解決の手段としてデジタル化を選び、その後、人材によって推し進めるという順序をとることが大切です。
例えばマーケティングユニットでは、BtoB営業の始まりから終わりまで、決まった流れを構築し仕組み化することに成功しています。
- セミナーによる集客
- 資料ダウンロードによる見込み客のリスト化
- マーケティング自動ツールによるサイト訪問者の追客
- 見込み客の層によって、顧客になる可能性の高いホットリードを抽出
- セールスによる営業クロージング
このように、先にデジタルを中心としたフローを検討し、そのフローを動かすための人材を後からアサインしていきます。このフローで200%近い売上成長率を達成しています。
仕組みやツールを使うことで無駄が省かれ、BtoB営業活動が底上げされます。オンラインでの営業活動でも成果を出していくには、仕組み化やノウハウ構築がさらに重要になってくるのです。
デジタルコンテンツに強くなる
営業パーソンと直接会いたいと感じている顧客がわずか12%だったという結果からもわかるように、BtoB営業の多くの時間をWEB会議のツールを用いるなどして行われることが今後ますます増えてきます。
こうなると手持ち資料や口頭でのプレゼンに強みを持っていた営業パーソンは、デジタルコンテンツに対する意識が弱く、翼をもがれた鳥のように輝きを失ってしまいます。
こうした変化に対応するために営業チームはコンテンツを磨かなければなりません。分かり易い資料をすぐに送付できる、動画を使った説明、スムーズなWEB会議の進行など、デジタル接点を強化する対策を練る必要があります。
BtoB営業成功のコツはデジタル活用!成約率向上の法人営業ノウハウ
データが取れる売り方を構築する
近年のデジタルネイティブな企業はデータが取れる売り方しかしないと言われています。お客さまの行動が見える化できる企業とできない企業では営業効率に大きな差が出てくるでしょう。
そこで競合と差をつけるには、「データが取れる売り方」を構築することです。集客から商談創出、成約までのフローごとの数値を把握し自社のセールスファネルを明確にしていきます。(※セールスファネル:潜在顧客から見込み客、顧客へと絞り込まれていくステップのこと)
マーケティングオートメーション(マーケティング活動の自動化を実現するツール )などによって顧客行動を可視化するなど、データや数値によって判断や意思決定をするデータドリブンの発想も重要です。
現在の状況を数値で理解、分析することで課題が明確になり、具体的な改善策が打てるようになります。
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オンラインBtoB営業はマーケティングDXとチーム力が必要
BtoB営業のプロセスを単にデジタルに置き換えるだけでなく、顧客のニーズを満たすためのマーケティングDXの発想を持つことが大切です。
そして、お客様の困りごとを解決するための情報を適切にやり取りするためには、顧客情報をいかに正確に早く、チーム間で共有するかが鍵となります。
今までのセールスシーンでは、一人のスーパーセールスが先頭を走り、そこに引っ張られる形でチームが構成されていました。トップセールスを追いかけることで、まさに背中を見て人材が育っていったと言えます。
しかし、オンライン中心のセールスシーンではマーケティング、インサイド、フィールド、カスタマーサクセスといった異なるポジションと連携しながら、セールス活動を行わなければいけません。
お互いの領域をカバーし合いながら、効率性と効果性を高めていくためには協働する力が極めて重要になってきます。
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